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諸法無我

旅行記や、日々思うことについて

ウナギを考える

今年の7月30日は何の日か、みなさんはご存知だろうか?

 

夏もいよいよ本番を迎えうとするその日は、ウナギを食べることで知られる「土用の丑」の日だ。

7月にも入れば、スーパーの鮮魚コーナーで「土用の丑」と書かれたウナギの販促用のぼりが散見されるようなシーズンになる。

もっとも、近年は土用の丑の前後だけでなく年中ウナギをスーパーで見かけるようになったが、やはりウナギと言えば土用の丑こそが我々日本人にとって、ウナギを食べる特別な日になるのだと思う。となればこの日のウナギ食習慣を広めた平賀源内の広告術たるや、いったいどれほど長けていたのだろうと…なかなかに興味深いものがある。

 

話を戻す。今日は平賀源内の話ではない。

平賀源内が広告を銘打った、ウナギ食そのものの話だ。

 

言うまでもなく、日本は世界におけるウナギの最大消費国であり、同時に最大輸入国でもある。

しかし二年前の2014年6月、事態は変わる。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストニホンウナギが登録されたというニュースが国内を駆け巡った。

絶滅危惧1B指定、パンダと同じレベルでニホンウナギが絶滅の危機に瀕しているという判断を科学者たちは下した、ということになる。

これを機にウナギの価格は上がり、消費量はガクンと落ちていくのかと思いきや、事態はそうは運ばなかった。現在でも有効な規制も何も布かれず、国内での稚魚の密漁は依然と行われており、アジア圏に生息する近縁種に手を付けたりと日本人は自らの胃袋を満たすためなら何でもするのだな、という印象をここ最近は受けつつある。

(今回は触れないが、太平洋クロマグロやサンマに関しても問題構造が非常に似ている気がする)

 

…とまあ問題の背景にはちょっぴり触れたが、今回はそんなウナギマーケットを取り巻く構造上の問題の概説をするわけではない。今回スポットを当てたいのは我々消費者の態度にこそ問題があるのでないか、という話だ。

 

先ほどチラッと触れたように皆さんもウナギが絶滅の危機に瀕しているというニュースはもちろん耳にしたはずだ。

「このままじゃウナギが食べれなくなる」というニュースにショックを覚えた方も多少はいるはずだ。でもそれに対してこれからどうするか、どう消費態度を改めるか?と言う風に行動を伴った一般消費者は非常に少ないとみていいと思う。

でもなけりゃあ、あんなにスーパーに所狭しとウナギが並ぶ風景は見られまい。

火の無いところには煙は立たないし、需要のないところには供給はないのである。

 

そもそもを思えば、ウナギは年一回食べられれば良いもの、いわゆるハレの食べ物だったはずが、今や年中スーパーで販売され、回転寿司にて供されている始末である。季節感もへったくれもあったもんじゃないし、なんだか少し風情を欠いた景色にように見える時もある。まあこれは完璧に個人的な印象なのだが…きっと平賀源内も自らの打った広告が長い月日を経てこんな事態を作り出すとは思わなかったろう。

 

きっとこの問題を考えるうえで一番の問題になるのが、と言うかもうすでに現実に現れていのだが、資源状況が危機状態にあるにも関わらず無関係を装い行動に移さない消費者の態度そのものだと思う。

結局あのニュースの後もウナギの消費量が決定的に落ち込むことはなかった。むしろ落ち込むような事態があるとするならば、資源不足が招くウナギ価格の高騰ぐらいいでああろうか。あれだけ「食べられなくなる」だとかセンセーショナルに報道されたとしても、消費者の意識を変えるには至らない。

日本人はグルメな民族だと思う。スーパーにもいろいろな国内外を問わず水産畜産農作物さまざまな物産が揃い、顧客のニーズに応えている。でも消費者達はその食べ物の背景に何があるのかを知ろうとしない。

アメリカ産のオレンジが地下水尽きかけの灌漑農地で栽培されたのを知らないように、外食店で供される野菜のほとんどがいったいどこの国のどんな農薬を使ったものかも特に気に掛けないように、ウナギに関してもどんな流通ルートを辿って我々の食卓までやってくるのか、知ろうとしない。

 

自分個人が思うには、食の豊かさを多様性に求めるとするならそれが実現するのにいったいどんな背景があるのか、もっと知ろうとしてもいいんじゃないかと思います。むしろ豊かさを享受することは責任も伴うんじゃないかなと思います。

 

とりわけウナギに関しては絶滅に瀕している資源です。もしもウナギ食文化が本当にいいもので将来にわたって残していきたいと考えているなら、そこに行動はついてくるはずです。「どうせ絶滅してしまうなら今食べてしまわないと」なんて思うなら話は別ですが。

 

少しずつ近づいてくる土用の丑、今年ウナギを食べるか否かは皆さん次第ですが、もし食べるとするなら、あなたの食卓に乗っているウナギがいったいどのような背景を経てそこに至っているのか、少しだけ考えてみてはいただけないでしょうか。

 

気になった人は以下のページも見てみてください。ちょっと古いですが…

natgeo.nikkeibp.co.jp